暖房費精算書

VDI 2077による配管放熱:暖房費精算書がラジエーター以外の熱を計測できないとき

2026年9月19日MEVIO編集部読了時間 9分

要点まとめ

  • 配管放熱とは、断熱されていない暖房配管が住戸内で放出する熱のことです — どの暖房費配分計でも記録されません。
  • その結果、立て管沿いの住戸は「無料で」暖められ、他の住戸がその使用量分も負担することになります。
  • 暖房費令(Heizkostenverordnung、HeizkostenV)§ 7 Abs. 1 Satz 3は、一般に認められた技術規則、すなわちドイツ技術者協会(VDI)の指針VDI 2077の配管放熱に関する補足資料(Beiblatt Rohrwärme)に従った補正を認めています。
  • 条件は、配管の大部分が断熱されていない露出配管であること、および計測率が34%未満であることです。
  • 最善の解決策は、やはり配管を断熱することです。

多くの古い建物では、暖房配管がむき出しのまま住戸内を通っています。浴室、キッチン、廊下などを縦に通る立て管で、断熱がまったくされていないことも少なくありません。これらの配管は冬に熱くなり、部屋に熱を放出します。居住者にとっては快適ですが、暖房費精算書にとっては問題です。熱は使われているのに、計測されていないからです。

配管放熱とは

暖房費配分計はラジエーターに取り付けられ、そのラジエーターが放出する熱だけを記録します。ラジエーターに至るまでに配管が放出する熱は、計測されません。断熱性能の高い建物では、この割合はわずかです。しかし、断熱されていない立て管や単管式暖房のある建物では、暖房熱量全体の大きな部分を占めることがあります。

熱が計測される場所 — 計測されない場所断熱されていない立て管のある集合住宅の断面図
ボイラー暖房費配分計ラジエーターのみ計測非断熱の配管熱を放出 —計測されない配管放熱住戸も暖める

暖房費配分計が記録するのは、ラジエーターが放出する熱だけです。配管の熱は住戸に届いていますが、精算書には使用量として表れません。

その結果、精算書にゆがみが生じます。暖かい立て管が通っている住戸は、ラジエーターをほとんど止めていても暖かいままです。使用量はほとんど表示されず、使用量費用もその分わずかしか支払いません。この費用は他の利用者が負担することになります — まさにラジエーターで暖房している利用者です。

暖房費令が認めていること

2009年の改正以降、HeizkostenVにはこのケースのための独自の規定があります。これは義務ではなく、選択肢を与えるものです。2つの条件を満たす場合、一般に認められた技術規則に従って使用量を算定することができます。

法的根拠 · § 7 Abs. 1 Satz 3 HeizkostenV

熱分配用の露出配管の大部分が断熱されておらず、そのために熱使用量の相当部分が記録されない建物においては、利用者の熱使用量を一般に認められた技術規則に従って算定することができる。

実務上、一般に認められた規則とされているのは、配管からの放熱を専門に扱うVDI 2077指針の補足資料です。どのような場合に「相当部分」にあたるか、また記録されない熱を計算上どのように考慮するかが定められています。

重要なのは露出という言葉です。ドイツの民事事件の最上級裁判所である連邦通常裁判所(Bundesgerichtshof、BGH)は2017年、これが目に見える形で敷設された配管を意味することを明確にしました。しっくいの下や床下地(エストリッヒ)の中の配管は、熱を放出していても、配管放熱の補正の根拠にはなりません。

補正が検討されるのはどんな場合か

配管放熱が精算書を大きくゆがめているかどうかは、測定によって判断できます。中心となる指標は計測率、つまり暖房熱量のうち実際にラジエーターで計測される割合です。計測率が34%未満であれば、熱の大部分が計測機器を経由せずに使われていることになります。

配管放熱の補正が検討されるのはどんな場合かこれらの条件がすべてそろっている必要があります
  1. 断熱されていない配管大部分熱分配用の露出配管の大部分が断熱されていないこと — 暖房費令上の要件です。
  2. 計測率34%未満ラジエーターで計測される暖房熱量が全体の3分の1未満であること。
  3. 使用量の不均等顕著使用量のばらつきが大きく、住戸のうち無視できない割合で、計測可能な使用量がほとんどないこと。

基準1は § 7 Abs. 1 Satz 3 HeizkostenV に、基準2と3はVDI 2077の配管放熱に関する補足資料に基づきます。

計測率が低いだけでは十分ではありません。補足資料はさらに、建物内の使用量が著しく不均等に分布しており、住戸のうち無視できない割合で計測可能な使用量がほとんどないことを求めています — これは、配管の熱で暖められている住戸に典型的な兆候です。

収支法のしくみ

この方法では、建物に供給された熱と、ラジエーターで計測された熱を比較します。その差分から、配管放熱として住戸に届いている部分を算出します。この部分は、追加の計算上の使用量単位として、暖房面積に応じて各住戸に配分されます。

VDI 2077による収支法 — 4つのステップ
  1. 建物に供給された熱燃料または熱量計から暖房熱量を求めます。
  2. 計測された熱暖房費配分計の計測値を熱量に換算します。
  3. 差分の収支計算住戸内の配管放熱を、その他の損失と区別します。
  4. 配管放熱の配分暖房面積に応じて追加の単位として加算します。
計測率:30% → 43%暖房熱量のうち、使用量として精算に反映される割合 — 例の建物

補正なし

計測済み 30パーセント、未計測 70パーセント

配管放熱を考慮

計測済み 30パーセント、配管放熱 13パーセント、その他 57パーセント

「その他」は主に、地下室など住戸の外で生じる損失です。数値は簡略化した例であり、実務では建物のエネルギー収支から算出されます。

法的根拠 · § 7 Abs. 1 Satz 4 HeizkostenV

このように算定された各利用者の使用量は、記録された熱使用量として考慮されます。つまり、計測された使用量と同じように使用量費用の配分に含まれます。

利用者にとって何が変わるか

補正によって建物全体の費用は変わらず、その配分が変わります。これまで配管の熱で暖められていた住戸には、その熱の一部が割り当てられます。ラジエーターで暖房している住戸は負担が軽くなります。

同じ広さの2住戸にとって補正が意味すること各80 m²、建物の暖房費20,000ユーロ、配分基準70/30
基本費用使用量費用

住戸A — ほぼ立て管の熱だけで暖房

配管放熱なし
880ユーロ
配管放熱あり
1,219ユーロ

住戸B — ラジエーターで暖房

配管放熱なし
3,120ユーロ
配管放熱あり
2,781ユーロ

補正を行うと、住戸Aは339ユーロ多く支払います。立て管の熱が、その割合に応じて住戸Aに割り当てられるようになるためです。住戸Bは339ユーロ少なくなります。建物全体の費用は変わりません。

前提:建物内で記録された単位は10,000単位。配管放熱は追加の4,333単位に相当し、面積に応じて配分されます(1住戸あたり433単位)。

この例では、住戸Aの請求額は880ユーロから1,219ユーロに上がり、住戸Bの請求額は3,120ユーロから2,781ユーロに下がります。これにより精算書は、誰が実際にどれだけの熱を使ったかを、より正確に反映するようになります。

代替策とおすすめ

  • 配管を断熱する恒久的な解決策です。断熱された配管はほとんど熱を放出しないため、計測率が上がり、補正は不要になります。同時にエネルギー使用量も減ります。
  • 配分基準を見直す50/50など面積割合を高くすると、ゆがみが和らぎます。変更は § 6 Abs. 4 HeizkostenV の範囲内で、かつ精算期間の開始時点でのみ可能です。
  • データを整える収支計算には、供給された熱に関する信頼できるデータが必要です — ボイラーまたは熱交換ステーション(受け渡し設備)に熱量計があるのが理想です。
  • 透明性をもって伝える配管放熱の補正は、費用の配分を大きく変えます。所有者と賃借人には、なぜ、どのような方法で計算するのかを事前に伝えるべきです。

基本費用と使用量費用が一般にどのように配分されるかは、記事暖房費精算の70/30ルールで解説しています。

お客様の建物で配管放熱の疑いがありますか?

最新の暖房費精算書をお送りください。計測率と使用量の分布を確認し、VDI 2077による検討が有意義かどうかをお伝えします。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。2026年9月現在の情報です。

よくあるご質問

配管放熱 — 簡潔にお答えします

配管放熱とは何ですか?

配管放熱とは、断熱されていない暖房配管が住戸内で放出する熱のことです。特に古い建物の立て管や分配管が該当します。部屋を暖める一方で、ラジエーターに取り付けられた暖房費配分計では記録されません。

配管放熱はなぜ精算の問題になるのですか?

配管放熱は均等に分布していないためです。暖かい立て管が通っている住戸は、使用量がカウントされないまま暖められます。その結果、使用量費用は他の利用者に配分されます。精算書は、実際の熱の使用状況を正しく反映しなくなります。

配管放熱を考慮することは義務ですか?

いいえ、任意の規定です。暖房費令(Heizkostenverordnung、HeizkostenV)§ 7 Abs. 1 Satz 3によると、露出配管の大部分が断熱されておらず、そのために使用量の相当部分が記録されない場合には、一般に認められた技術規則に従って使用量を算定することができます。一般に認められた規則とされているのは、VDI 2077の配管放熱に関する補足資料(Beiblatt Rohrwärme)です。

記録されない熱が「相当部分」にあたるのはどんな場合ですか?

VDI 2077の補足資料が、そのための判定基準を定めています。特に重要なのは計測率、つまり暖房熱量全体のうちラジエーターで計測された熱の割合です。計測率が34%未満で、同時に使用量の分布が著しく不均等な場合、配管放熱の補正が検討されます。

壁の中の配管にも適用されますか?

いいえ。暖房費令は露出配管について定めています。連邦通常裁判所(Bundesgerichtshof、BGH)の判例によれば、しっくいの下や床下地(エストリッヒ)の中を通る配管は露出配管にあたらず、この規定は適用されません。

配管放熱の計算費用は誰が負担しますか?

計算と配分の費用は使用量の計量および精算の費用に含まれ、原則として入居者に転嫁可能です(§ 7 Abs. 2 HeizkostenV)。ただし、配管放熱の補正を適用することが認められる場合に限ります。

配管放熱の補正以外の方法はありますか?

はい。最も持続的な解決策は露出配管を断熱することです。そうすれば、問題はそもそも発生しません。そのほか、配分基準の変更が認められる範囲で面積割合を高くすることにより、影響を和らげることができます。