CO₂コスト

CO₂コストの配分:賃貸人と賃借人がそれぞれ負担する分

2026年9月11日MEVIO編集部読了時間 8分

要点のまとめ

  • 2023年から、暖房にかかるCO₂コストの一部を賃貸人が負担しています。 根拠は二酸化炭素コスト配分法(Kohlendioxidkostenaufteilungsgesetz、CO2KostAufG)です。
  • 住宅用建物では、居住面積1m²当たりのCO₂排出量で決まります。 建物の性能が悪いほど、賃貸人の負担分は高くなります(0~95%)。
  • 非住宅建物では、現在折半で配分されます。
  • 配分は暖房費精算書に記載する必要があります。記載がない場合、賃借人は暖房費の自己負担分を3%減額することができます。
  • 区分所有者団体(Wohnungseigentümergemeinschaft、WEG)では、義務を負うのは賃貸している所有者です。 そのためには、暖房費精算書に記載されたCO₂の情報が必要です。

天然ガスや暖房用灯油で暖房している場合、2021年からCO₂価格を支払っています。CO₂価格は燃料価格に含まれており、 年々大きく上昇してきました。長い間、この費用は暖房費精算書を通じて全額が賃借人に転嫁されていました。 2023年からは変わりました。賃貸人も一部を負担し、建物の1平方メートル当たりのCO₂排出量が多いほど、その負担分は大きくなります。

その考え方はシンプルです。賃借人は暖房の使い方に影響を与え、賃貸人は建物の外皮と暖房設備の状態に影響を与えます。 断熱が不十分だったり古い暖房設備を使っていたりする賃貸人にCO₂価格を負担させることで、改修への動機付けを与えるのです。

住宅用建物の段階モデル

この法律の中心となるのは10段階のモデルです。基準となるのは、精算年度に建物が居住面積1平方メートル当たりどれだけのCO₂を 排出したかです。断熱性能が高く効率的な暖房を備えた建物は下位の段階に入り、そこでは賃借人がCO₂コストの全部またはほぼ全部を負担します。 改修されていない建物は上位の段階に入り、賃貸人が最大95パーセントを負担します。

住宅用建物の段階モデル居住面積1m²当たり・年間の建物のCO₂排出量(kg)と、CO₂コストを誰がどれだけ負担するか
賃借人の負担分賃貸人の負担分
  1. 第1段階
    12未満 kg
    賃借人100パーセント、賃貸人0パーセント
  2. 第2段階
    12以上17未満 kg
    賃借人90パーセント、賃貸人10パーセント
  3. 第3段階
    17以上22未満 kg
    賃借人80パーセント、賃貸人20パーセント
  4. 第4段階
    22以上27未満 kg
    賃借人70パーセント、賃貸人30パーセント
  5. 第5段階
    27以上32未満 kg
    賃借人60パーセント、賃貸人40パーセント — 計算例の段階
  6. 第6段階
    32以上37未満 kg
    賃借人50パーセント、賃貸人50パーセント
  7. 第7段階
    37以上42未満 kg
    賃借人40パーセント、賃貸人60パーセント
  8. 第8段階
    42以上47未満 kg
    賃借人30パーセント、賃貸人70パーセント
  9. 第9段階
    47以上52未満 kg
    賃借人20パーセント、賃貸人80パーセント
  10. 第10段階
    52以上 kg
    賃借人5パーセント、賃貸人95パーセント

第2段階:賃貸人10%。第10段階:賃借人5%、賃貸人95%。下の計算例の段階を強調表示しています。 出典:CO2KostAufG別表。

段階の判定は毎年あらためて行われます。そのため、寒い冬には建物が1段階上がることがあり、改修や暖房設備の交換によって 数段階下がることもあります。

配分の計算方法

計算自体はそれほど複雑ではありません。決め手となる数値は供給事業者が提供します。供給事業者は、燃料または熱の請求書に、 どれだけのCO₂が発生し、どれだけのCO₂コストが含まれているかを記載しなければなりません。

配分の手順 — 4つのステップ
  1. 供給事業者の請求書燃料または熱の供給事業者が、CO₂排出量とCO₂コストを記載します。
  2. 1m²当たりのCO₂を算出CO₂の総量を建物の居住面積で割ります。
  3. 段階を判定1m²当たりの値によって10段階のいずれかが決まり、それにより負担割合が決まります。
  4. 精算書で配分賃貸人の負担分は暖房費精算書で差し引かれます。
計算例:ガスのセントラルヒーティングを備えた集合住宅簡略化した計算例
建物の居住面積
600 m²
年間の天然ガス使用量
90,000 kWh
CO₂排出量(係数0.201 kg/kWh)
18,090 kg
居住面積1m²当たりのCO₂
30.2 kg → 第5段階
CO₂コスト(1トン当たり55ユーロ)
994.95ユーロ
賃借人の負担分賃貸人の負担分
賃借人:596.97ユーロ賃貸人:397.98ユーロ

CO₂コスト994.95ユーロのうち、賃借人が596.97ユーロ、賃貸人が397.98ユーロを負担します。

実務上の基準となるのは、供給事業者が請求書に記載するCO₂排出量とCO₂コストです。 燃料排出量取引法に基づくCO₂価格は、2026年には1トン当たり55~65ユーロの範囲にあります。

この例では、建物の排出量は1平方メートル当たり約30 kg CO₂で、第5段階に該当します。 賃貸人はCO₂コストの40パーセント、つまり年間397.98ユーロを負担します。 賃貸人はこの金額を賃借人に転嫁することはできず、暖房費精算書において入居者に転嫁可能な費用から差し引かれます。

非住宅建物:折半

事務所、診療所、店舗などの非住宅建物については、現在、段階モデルはありません。賃貸人と賃借人がCO₂コストをそれぞれ半分ずつ負担します。

実務でよくある特殊なケース

自らガス契約を結んでいる賃借人。住戸単位のガス暖房(Gasetagenheizung)や個別暖房では、 賃借人が供給事業者と直接精算することがよくあります。その場合、賃借人はまずCO₂コストを全額支払い、その後、 賃貸人の負担分を請求します。期限は、供給事業者の請求書を受け取ってから12か月以内です。

文化財保護などの規制。文化財保護や街並み保全(Milieuschutz)など公法上の理由により、 建物のエネルギー改修ができない、または限られた範囲でしかできない場合、賃貸人の負担分は減少します。 賃貸人はその制約を証明しなければなりません。

CO₂価格のかからない暖房。ヒートポンプ、木質ペレット、太陽熱利用は、 この法律でいうCO₂コストを生じさせません。その場合は、そもそも配分するものがありません。

区分所有者団体にとっての意味

区分所有者団体は賃貸人ではありません。配分の義務を負うのは、住戸を賃貸している個々の所有者です。 ただし、その義務を果たせるのは必要な数値を受け取った場合に限られます。そして、その数値は団体の暖房費精算書の中で算出されます。

そのため、賃貸されている各住戸について、精算書には次の内容を記載することが望まれます。

  • 建物のCO₂排出量とCO₂コスト
  • 基準とした居住面積と1m²当たりの値
  • そこから導かれる段階と配分割合
  • その住戸のCO₂コスト負担分(賃借人分と賃貸人分に分けて)

これらの情報がない場合、賃貸している所有者はそれぞれ自分で計算しなければならず、計算しなければ3パーセントの減額を受ける おそれがあります。管理会社にとっては、次の精算書を作成する前に計量サービスと確認しておくべき点です。

CO₂配分に対応した暖房費精算書

住戸・事業用ユニットの数と直近の暖房費精算書をお送りください。現在の費用との比較を添えたお見積りをお届けします。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案における法的助言に代わるものではありません。 2026年9月時点の情報です。

よくあるご質問

CO₂コストの配分 — 簡単な回答

CO₂コストが賃貸人と賃借人の間で配分されるようになったのはいつからですか?

2023年1月1日からです。二酸化炭素コスト配分法(Kohlendioxidkostenaufteilungsgesetz、CO2KostAufG)は、この日以降に始まるすべての精算期間に適用されます。それ以前は、賃借人が暖房費の一部としてCO₂コストを単独で負担していました。

住宅用建物では、賃貸人の負担分はどのように計算されますか?

10段階の段階モデルに基づいて計算します。基準となるのは、居住面積1平方メートル当たりの建物の年間CO₂排出量です。エネルギー性能が悪いほど、賃貸人の負担分は高くなります。12 kg CO₂/m²未満では0パーセント、52 kg CO₂/m²以上では95パーセントです。

事業用などの非住宅建物ではどうなりますか?

非住宅建物については、現在、法律で折半が定められています。賃貸人と賃借人がCO₂コストをそれぞれ半分ずつ負担します。

賃貸人がCO₂コストを配分しない場合はどうなりますか?

暖房費精算書に負担分が記載されていない場合、賃借人は暖房費の自己負担分を3パーセント減額することができます。これとは別に、正しい配分を求める権利は引き続き存在します。

賃借人が住戸単位のガス暖房(Gasetagenheizung)の料金を供給事業者と直接精算している場合は?

その場合、賃借人はまず自らCO₂コストを供給事業者と精算し、その後、賃貸人の負担分を賃貸人に請求します。期限は、供給事業者の請求書を受け取ってから12か月以内です。

区分所有者団体ではどのように扱われますか?

団体自体は賃貸人ではありません。配分の義務を負うのは、賃借人に対する個々の賃貸している所有者です。配分を行うためには、暖房費精算書から建物のCO₂排出量、居住面積、段階の区分、そして自分の住戸に割り当てられるCO₂コストの負担分を知る必要があります。